サウナは健康に悪い?事故82人のデータと海外の死亡調査からわかりやすく解説【6つのリスク対策表・入ってはいけない人】ヒートショック・水風呂・サウナ後の血圧まで

公開 2026-10-03・更新 2026-10-03・GolfCounter 編集部(ととのい時計 開発チーム)

結論

サウナそのものが「健康に悪い」わけではありません。健康な大人の多くはよく耐えられるとされ、習慣的に入る人ほど心血管の病気による死亡が少ないという観察研究もあります。ただし、サウナ中の心臓には中程度の運動に近い負担がかかり、水風呂では血圧が大きく動きます。事故や死亡の多くは、飲酒・我慢しての長居・急な温度変化・転倒といった入り方の問題と重なって起きています。体調のよい日に、酔わずに、我慢せずに入ることが、リスクを小さくするいちばんの方法です。

「サウナって、本当は体に悪いんじゃないの?」

「サウナで倒れた、亡くなったというニュースを見て、自分も大丈夫か心配になった」

ブームで通い始めたものの、ふとこんな不安がよぎった方も多いのではないでしょうか。調べてみても「ヒートショックで危険」「いや健康にいい」と書いてあることが正反対で、何を信じればよいか迷ってしまいます。そこでこの記事では、消費者庁が2024年に公表したサウナ事故のデータ、海外の法医学者が調べたサウナでの死亡例、心拍数や血圧を測った論文をもとに、実際に何が起きているのかを数字で整理しました。サウナの記録アプリ「ととのい時計」を作っている開発チームとして、6つのリスクごとの対策と、入ってはいけない人までまとめています。ぜひ参考にしてください。

先に結論だけ知りたい方へ:リスクと対策の一覧は「サウナの6つのリスクと対策」、入ってはいけない人は「入ってはいけない人・医師に確認すべき人」にまとめています。安全な入り方の基本はサウナの入り方(何分・何セット)で確かめられます。

1. サウナは本当に健康に悪い?研究でわかっている両面

「健康に悪いか」を判断するには、体にかかる負担と、長く続けた人の健康の両方を見る必要があります。どちらか片方だけを見ると、不安を煽る話にも、楽観しすぎる話にもなってしまいます。

1-1. 体への負担:座っているだけで中程度の運動に近い

サウナ室では、体は熱を逃がすために皮膚の血管を広げ、汗をかき、心臓はたくさんの血液を送り出します。健康な若い男性8人を測ったフィンランドの実験では、80℃のサウナで心拍数が約60%、100℃では約90%上がり、湿度を上げて限界まで入ると約130%上がりました(Kukkonen-Harjula ら, 1989)。93℃のサウナに25分入ったときの心臓への負荷は、60〜100ワットの中程度の運動に相当するという報告もあります(Ketelhut ら, 2019)。

健康な人には問題にならない負担でも、心臓の病気がある人や、飲酒・脱水で体が弱っているときには大きな負担になります。心拍数の上がり方はサウナの心拍数の目安で詳しく解説しています。

1-2. 長く続けた人の健康:心血管の病気による死亡が少ない傾向

一方で、サウナを習慣にしている人の健康を長く追った研究もあります。フィンランドの中年男性2,315人を約20年追った研究では、サウナが週4〜7回の人は週1回の人に比べて、心血管の病気による死亡のリスクが50%低く(HR 0.50)、突然心臓死は63%低い(HR 0.37)という結果でした(Laukkanen ら, 2015)。同じ地域の男女1,628人の研究では、週4〜7回の人の脳卒中のリスクが約6割低いという関連も出ています(Kunutsor ら, 2018)。

ただし、どちらも観察研究なので、示しているのは「関連」です。もともと健康で体力がある人ほどサウナに通いやすい、という可能性も残るため、「サウナに入れば病気を防げる」とまでは言えません。それでも、習慣的な利用そのものが体に悪いことを示すデータにはなっていない、という点は押さえておいてよいでしょう。効果について詳しくはサウナの効果の解説、頻度の考え方はサウナに毎日入っていいかの解説にまとめています。

1-3. 「サウナは体に悪い」と言われる理由を検証

よく聞く「体に悪い」という話を、研究や公的機関の資料と照らし合わせて整理しました。

よく聞く話実際のところ
心臓に負担がかかる事実。中程度の運動に近い負担。健康な人は多くが耐えられるが、重い心臓病では危険
水風呂で血圧が急上昇する事実。急に入ると200mmHg程度まで上がった報告あり(消費者庁資料)
脱水になる事実。10分で約500mL汗が出るという報告あり。水分補給で防げる
サウナで死亡事故が多発している言い過ぎ。死亡はまれで、海外の調査では飲酒や一人での入浴が重なる例が多い
肌が乾燥してボロボロになる確かめられていない。皮膚を乾燥させないという総説がある一方、アトピー性皮膚炎では汗でかゆみが増すことがある(Hannuksela ら, 2001)
サウナで痩せる(だから脱水は問題ない)誤り。入浴後の体重減少は汗による一時的なもので、痩せたわけではない(消費者庁資料)

2. 消費者庁のデータで見るサウナ事故(受傷者82人の内訳)

日本で実際にどんなサウナ事故が起きているかは、消費者庁「サウナ浴での事故に注意」(2024年6月5日)がいちばん具体的な資料です。消費者庁と国民生活センターが運用する「事故情報データバンク」を、消費者庁がこの注意喚起のために精査した数字で、事実関係や因果関係が確認されていない事例も含みます。

2-1. 登録は78件・受傷者82人、最近2年で増えている

2024年4月末時点で、サウナ浴に関する事故は78件、受傷者は82人登録されています。年度別に見ると、2014〜2021年度は平均して年4件程度でしたが、2022年度と2023年度はそれぞれ10件に増えました。サウナを利用する人が増えた時期と重なっています。

事故が起きた場所は、入浴施設が45人(54.9%)と半数以上で、宿泊施設15人、スポーツ施設13人と続きます。家庭用サウナで4人、屋外(アウトドアサウナ)でも2人がけがをしています。

2-2. けがの約9割はやけど・切り傷・骨折などの外傷

意外かもしれませんが、登録されている事故の中心は心臓や血圧のトラブルではなく、やけどや転倒によるけがです。

けがの内容件数
やけど31
切り傷・擦り傷など24
骨折・打撲14
めまい・意識障害7
爪がはがれた4
循環器障害3
一酸化炭素中毒3
皮膚障害(やけどを除く)3

内容がわかっている80人のうち、やけど・切り傷など・骨折打撲の3つで約9割(86.3%)を占めます。1人が複数のけがをしている場合があるため、件数の合計は89です。けがの程度は「1〜2週間」が18人と最も多く、「1か月以上」が13人、死亡は2人でした。

2-3. 受傷者は40〜79歳が約7割、40歳以上は意識障害や循環器障害も

年齢受傷者数
20歳未満3人
20〜39歳12人
40〜59歳28人
60〜79歳25人
80歳以上3人
不明11人

年齢がわかっている人のうち、40〜79歳が約7割(74.6%)です。消費者庁によると、40歳未満のけがはやけどや切り傷などの外傷がほとんどなのに対し、40歳以上では外傷に加えて「めまい・意識障害」や「循環器障害」も含まれています。年齢が上がるほど、けがだけでなく体の内側のトラブルにも気をつける必要がある、ということです。

2-4. 公表された事例から見える4つのパターン

注意喚起には8つの事例が載っています。内容を分類すると、次の4つのパターンに分けられます。

  • 熱いのに我慢した:熱いと思いながら10分間同じ姿勢を続け、やけどをした(20歳代)
  • 室内で意識を失った:座ったまま意識を失い、接していた部分に重いやけどを負い、足の指を切断した(70歳代)
  • 出た直後にふらついて転んだ:サウナから出て頭がくらくらし、滑って顔から転び前歯が抜けた(10歳代)
  • 心臓の病気の既往があった:以前に心筋梗塞を起こしたことがあり、サウナ利用中に心臓発作を起こして入院した(50歳代)

ほかにも、照明の裸電球やセルフロウリュの蒸気によるやけど、ドアに当たって爪がはがれた事故などがあります。若い人でも「我慢」と「ふらつき」で大けがをしています。

3. サウナの死亡事故はどう起きる?海外の死亡調査

「サウナ 死亡事故」と検索する人がいちばん知りたいのは、どんな状況で亡くなっているのかでしょう。日本全体でサウナ中の死亡を集計した公的な統計は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。そこで、サウナ文化の長い北欧と韓国で、法医学者が死亡例を調べた研究を見ていきます。

調査対象わかったこと
フィンランド(Kenttämies ら, 2008)1990〜2002年のサウナ中の死亡年間で人口10万人あたり2人未満。51%が病死、25%が熱による死亡。50%が飲酒した状態
スウェーデン(Rodhe ら, 2008)1992〜2003年の77例82%が男性で中年が多い。血中アルコールを測った69例のうち49例(71%)が陽性。サウナで見つかった人は2例を除いて全員が一人だった
韓国(Yang ら, 2018)2008〜2015年の103例76例が血中アルコール濃度0.08%以上の酩酊状態
フィンランド(Kortelainen, 1991)1970〜86年の高体温による死亡228例多くがサウナ中で、42〜62歳の男性が中心。大半で直前の飲酒が見つかった

国も時代も違う調査ですが、共通しているのは飲酒・中年男性・一人での入浴です。フィンランドの研究者は、サウナでの死亡は利用の多い国でもまれだとしたうえで、予防の中心は飲酒を減らすことと、酔った人を一人でサウナに残さないことだと結論づけています。

心臓発作については、サウナで起きる急性心筋梗塞や突然死はごく少ない一方、飲酒しながらのサウナは低血圧・不整脈・突然死のリスクを高めるので避けるべきだ、という総説があります(Hannuksela ら, 2001)。「サウナが危ない」というより、「酔ってサウナに入るのが危ない」と言うほうが、データに近い表現です。

4. サウナの6つのリスクと対策

ここまでのデータを、自分の入り方で気をつけるべき6つのリスクに整理しました。どれも、入り方を変えれば小さくできるものです。

リスク起きる理由サイン対策
① 脱水大量の汗で体の水分が減るのどの渇き・頭痛・だるさ入る前・合間・後にコップ1〜2杯ずつ水分をとる
② 熱中症・のぼせ我慢して長く入り、体温が上がりすぎる動悸・頭がぼーっとする・吐き気汗が出たら・動悸がしたら出る。イベント中でも我慢しない
③ 血圧の急変急な温度差で血管が縮んだり広がったりする立ちくらみ・めまいシャワーで慣らす、下段から座る、かけ水をしてから水風呂
④ 不整脈冷水の強い刺激や体温の上がりすぎ脈が飛ぶ・胸が苦しい水風呂に急に入らない。動悸や胸の苦しさが出る人は水風呂を避ける
⑤ 飲酒血圧が下がりやすく、異変に気づきにくい(酔っていると気づけない)飲酒後・二日酔いの日は入らない。サウナ中も飲まない
⑥ 転倒・やけど濡れた床、ふらつき、熱い金属や照明出た直後のくらくらゆっくり立って歩く。金属類を外す。熱い部分に触れない

4-1. 脱水:10分で約500mLの汗が出ることも

消費者庁の資料で紹介されている医師のコメントでは、10分間のサウナ浴で汗が500mL程度出るという報告が挙げられています。体重の約1%にあたる量で、人は体重の1〜2%の水分を失うと脱水症になるとされています。入る前にコップ1〜2杯、入浴中もこまめに、入浴後にもコップ1〜2杯の水分補給が勧められています。サウナ後に体重が減っていても、それは汗による一時的なもので、痩せたわけではありません。

4-2. 熱中症・のぼせ:汗と動悸が「出る合図」

同じコメントでは、汗をかいたら体温が0.5〜1.0℃ほど上がっていると考えられ、十分に温まったサインだとしています。そのまま我慢すると体温が上がりすぎて熱中症になり、動悸も体温が上がりすぎているサインです。アウフグースなどのイベント中は出にくくなりますが、途中でも出てかまいません。サウナ後の頭痛が気になる人はサウナの後の頭痛の原因と対策も参考にしてください。

4-3. 血圧の急変:上段や水風呂への「いきなり」が危ない

サウナ室は1段上がると約10℃温度が上がるとされ、室温100℃のサウナでは中段が70〜80℃、下段が50℃付近という調査結果もあります(消費者庁資料)。最初から上段に座ると、急な高温で血圧が急上昇する危険があります。まず下段に座り、慣れたら上に移るのが基本です。水風呂での血圧の動きは、6章で詳しく説明します。

4-4. 不整脈:若い人でも冷水の強い刺激で起きうる

消費者庁の資料では、サウナ直後に突然水風呂へ浸かると、脈が遅くなる不整脈が原因で意識を失うこともあるとされています。動脈硬化が進みやすい中高年や高齢者、血圧の高い人、心臓の病気がある人が特に危険ですが、若い人でも冷水による急な強い刺激は不整脈を引き起こす可能性があると注意されています。水風呂に入ると動悸がする、胸が苦しく感じる人は、水風呂に入らないほうがよいとされています。

4-5. 飲酒:死亡例に最も多く重なる要因

3章のとおり、海外の死亡調査ではサウナで亡くなった人の5〜7割に飲酒が見られました。お酒で血圧が下がった状態でさらに温まると立ちくらみや転倒を起こしやすく、酔っていると体調の変化にも気づきにくくなります。「お酒を抜くためにサウナ」は逆効果です。飲酒後(二日酔いを含む)は利用を避けるよう、消費者庁の資料でも明記されています。

4-6. 転倒・やけど:日本の事故データで最も多い

2章のとおり、日本の事故データの中心はやけどと外傷です。出入口は濡れて滑りやすく、勢いよく出ると自分も周りの人もけがをしやすくなります。照明や扉のガラス、金属やロッカーのカギも熱くなるので、肌に触れないようにします。セルフロウリュは、一度に大量の水をかけず、施設のやり方を確認してから行いましょう。ロウリュのやり方はロウリュ・アウフグースとはで解説しています。

5. ヒートショックとは?サウナで使われる意味

「サウナ ヒートショック」と検索されることは多いものの、この言葉が何を指しているかは意外とあいまいです。公的機関の資料での使われ方を確認しておきます。

5-1. もとは「入浴時の温度差による血圧の急な変動」を指す言葉

ヒートショックは、一般に、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室への移動、熱い湯への入浴といった急な温度変化で血圧が大きく上下し、体に負担がかかることを指して使われています。消費者庁は高齢者の入浴事故の資料で、寒暖差などで急激な血圧の変動があると脳の血流が減って意識を失うことがあり、それが入浴中に起きると溺水事故につながると説明しています。

ただし、公的機関の資料でも「いわゆるヒートショック」という言い方がされることが多く、厳密な医学的定義が示されているわけではありません。サウナの注意喚起でも、消費者庁は脱衣後すぐサウナ室に入る、サウナ室から出てすぐ水風呂に入るといった行為を「いわゆるヒートショックのような状態を自ら起こすことにもつながる」と表現しています。

5-2. 家のお風呂での入浴事故はサウナよりずっと多い

入浴時の温度差が問題になるのは、サウナよりもむしろ家庭のお風呂です。消費者庁の資料(2018年11月)によると、65歳以上の人の家や居住施設の浴槽での溺死は、2011年以降、交通事故による死亡者数より多くなっています。病死と判断される例も含めた全国の入浴中の急死は年間約19,000人と推計した厚生労働省の研究班の報告も紹介されています(サウナに限らない入浴全体の推計です)。

家庭のお風呂サウナ
温度差が生まれる場面暖かい部屋→寒い脱衣所・浴室→熱い湯脱衣所→高温のサウナ室、サウナ室→冷たい水風呂
消費者庁の対策脱衣所・浴室を暖める、湯温41℃以下・つかるのは10分まで、急に立ち上がらないシャワーで体を慣らす、下段から座る、かけ水をしてから水風呂、苦手なら水風呂に入らない
共通の注意食後すぐ・飲酒後は入らない。入る前に家族や周りの人に声をかける

サウナでは、温める・冷やすという温度差を自分から何度もつくる分、移るときに一段階はさむことが大切です。脱衣所からはシャワーをはさんでサウナへ、サウナからはぬるいお湯とかけ水をはさんで水風呂へ、と覚えておくと実践しやすくなります。

6. 水風呂は危険?サウナ後の血圧の動き

「水風呂 危険」「サウナ 後 血圧」と心配する人のために、1セットの中で血圧がどう動くかを整理します。上がる場面と下がる場面を知っておくと、どこで気をつければよいかがはっきりします。

場面血圧の動き気をつけること
いきなり高温・上段急上昇する危険シャワーで慣らし、下段から
サウナ直後の水風呂200mmHg程度まで上がった報告ぬるいお湯で汗を流し、手足からかけ水
休憩・入浴後入浴前より下がることが多いゆっくり立つ。入浴後30分ほど休む

6-1. 水風呂では血管が一気に縮み、血圧が上がる

温まって血管が広がった状態からすぐ水風呂に入ると、急な血管の収縮と水圧で血圧が上がり、心臓に大きな負担がかかります。消費者庁の資料では、血圧が200mmHg程度まで上がった報告が紹介され、脳卒中や心筋梗塞を起こすおそれがあるとされています。血管が硬くなりやすい高齢の人は特に注意が必要です。

そのため、水風呂は苦手なら入らなくてかまいません。消費者庁も、水風呂が苦手な人や入ると体調が悪くなる人は、サウナと外気浴を交互に行うなどの入り方を検討するよう勧めています。入る場合の水温と時間の目安は水風呂の入り方と効果にまとめています。

6-2. サウナの後は、血圧が入浴前より下がることが多い

一方で、サウナを出て休んだ後の血圧は、入浴前より下がることが複数の研究で確かめられています。73℃のサウナに30分入った102人の研究では、入浴直後の血圧が平均137/82mmHgから130/75mmHgに下がりました(Laukkanen ら, 2018)。93℃・25分の研究でも、入浴後の血圧は入浴前より低くなっています(Ketelhut ら, 2019)。

血圧が下がるのは悪いことではありませんが、急に立ち上がるとふらつきやすい状態でもあります。消費者庁の資料でも、入浴後は体の水滴をすばやくふいて着替え、血圧が安定するまで30分ほど休むよう勧めています。サウナの後すぐに運転したり、走って移動したりするのは避けましょう。

7. 入ってはいけない人・医師に確認すべき人

サウナの安全性は、体の状態によって大きく変わります。ここでは公的機関の資料と医学の総説をもとに、避けるべき場合と、主治医に確認すべき場合を分けて整理しました。

区分該当する場合出典
利用を避ける体調がすぐれないとき、病気の活動期(特に熱があるとき)、少し動くと息苦しくなるような重い心臓や肺の病気、むくみがあるとき、目に見える出血があるとき、体が衰弱しているとき、食事の直後、運動の直後、飲酒後(二日酔いを含む)消費者庁, 2024
主治医に確認してから慢性の病気が急に悪化してきたとき、脳卒中の後、心臓の病気や高血圧で治療中、妊娠中消費者庁, 2024
医学的に禁忌とされる不安定狭心症、最近の心筋梗塞、重い大動脈弁狭窄症Hannuksela ら, 2001
注意する精神安定剤や睡眠薬などを飲んだ後(入浴全般で危険とされる)消費者庁, 2018

同じ総説では、安定した狭心症や昔の心筋梗塞の人の多くにとってサウナは安全だとし、健康な女性の合併症のない妊娠中も安全だとしています。ただし、これは一般論です。日本の消費者庁の資料では心臓病の治療中や妊娠中は主治医に確認するよう求めているので、自分で判断せず、主治医に相談してからにしてください。

7-1. 心臓の病気がある人向けの「低温サウナ」の研究もある

日本では、60℃の遠赤外線サウナに15分入り、出た後に毛布をかけて30分安静にする「和温療法」という方法が研究されています。重い心不全で入院中の149人を対象にした多施設の研究では、和温療法のグループで息切れの程度や歩ける距離などが改善し、重い副作用は見られませんでした(Tei ら, 2016)。ただし、これは病院で医師の管理のもとで行う治療で、一般のサウナとは別物です。自己判断で街のサウナに入ってよいという意味ではありません。

8. 体に悪くしないサウナの入り方8つ

6つのリスクへの対策を、入る順番に並べました。消費者庁の資料にある医師のコメントと、死亡調査からわかったことを合わせています。

  1. 体調を確かめる:寝不足・発熱・飲酒後・食事や運動の直後は入らない。
  2. 水分をとる:入る前にコップ1〜2杯。
  3. 金属類を外す:アクセサリーやロッカーのカギの金属部分が肌に触れないようにする。
  4. シャワーで体を慣らす:温かいシャワーを手足の先から体の中心へ順にかけ、体の水滴をふいてからサウナ室へ。
  5. 下段から座る:慣れたら上段へ。汗が出たら、動悸がしたら、時間にかかわらず出る。
  6. 水風呂は一段階はさむ:ぬるいお湯で汗を流し、手足からかけ水をしてからゆっくり入る。苦手なら入らず、外気浴で冷ます。
  7. 休憩と水分補給:座れる場所で休み、合間にも水分をとる。立つときはゆっくり。
  8. 入浴後は30分ほど休む:最後にもコップ1〜2杯の水分をとる。

加えて、一人きりで長く入らないことも大切です。スウェーデンの調査ではサウナで亡くなって見つかった人のほとんどが一人でした。家庭用やテントサウナなど非常用ボタンのない場所では、周りの人に声をかけてから使うよう消費者庁も勧めています。施設で体調に異変を感じたり、周りの人の様子がおかしいと思ったりしたら、非常用ボタンを押すなどしてすぐに従業員に知らせてください。

何分入るか・何セットにするかは、サウナ室の温度と慣れで変わります。基本の流れはサウナの入り方(何分・何セット)で、外での休み方は外気浴のやり方で解説しています。

9. 無理をしていないか、記録で振り返る

サウナの事故の多くには「我慢」が関わっていますが、どこからが我慢かはその場では自覚しにくいものです。毎回の入り方を記録しておくと、サウナに長く入りすぎた日や、休憩が短すぎた日に後から気づけるようになります。

ととのい時計は、iPhone・Apple Watch・Android で使えるサウナ記録アプリです。高温浴・水風呂・休憩の3つのタイマーがあり、Apple Watch で測った心拍から、温まり・冷え・回復・時間バランスの4つの要素で0〜100の「ととのいスコア」を出します。セットごとの心拍のグラフや履歴、施設名の記録で、自分にとって無理のない入り方を振り返れます。

10. よくある質問

サウナは本当に健康に悪い?

健康な大人が体調のよい日に、我慢せずに入る分には、多くの人がよく耐えられるとされています。一方で、サウナ中は心拍数が平常時の1.6〜1.9倍ほどに上がり、水風呂では血圧が大きく動くため、飲酒後・体調不良・心臓の病気がある場合は負担が大きくなります。「誰にとっても悪い」でも「誰にとっても安全」でもなく、入り方と体調しだいです。

サウナの死亡事故はどのくらい起きている?

日本全体でサウナ中の死亡を集計した公的な統計は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。消費者庁の事故情報データバンクには、2024年4月末時点でサウナ浴の事故78件・受傷者82人が登録され、うち死亡は2人です。サウナが盛んなフィンランドの調査では、サウナ中の死亡は年間で人口10万人あたり2人未満で、その半数が飲酒した状態でした。

サウナでヒートショックは起きる?

消費者庁は、脱衣後すぐサウナ室に入る、サウナ室から出てすぐ水風呂に入るといった急な温度変化は「いわゆるヒートショックのような状態」を自ら起こすことにつながると注意しています。サウナ直後に急に水風呂へ入って血圧が200mmHg程度まで上がった報告もあります。シャワーやかけ水で体を慣らしてから移るのが基本です。

サウナの後は血圧が上がる?下がる?

サウナ室の中や水風呂に入った瞬間は上がる方向に動きますが、サウナを出て休んだ後は入浴前より下がる人が多いことが研究で確かめられています。73℃のサウナに30分入った102人の研究では、直後の血圧が平均137/82mmHgから130/75mmHgに下がりました。立ち上がるときのふらつきに注意してください。

水風呂は危険?入らないといけない?

水風呂は必須ではありません。急に入ると血管が一気に縮んで血圧が上がり、心臓に負担がかかります。中高年の人や血圧が高い人、水風呂で動悸がする人は、ぬるめのシャワーや外気浴で冷ますだけでも十分です。入る場合は、汗を流し、手足からかけ水をしてからゆっくり入ります。

お酒を飲んだ後のサウナはなぜ危ない?

飲酒しながらのサウナは、低血圧・不整脈・突然死のリスクを高めると指摘されています。海外の死亡調査でも、サウナで亡くなった人の5〜7割に飲酒が見られました。アルコールで血管が広がった状態でさらに温まると血圧が下がりやすく、酔って熱さや体調の変化に気づきにくくなります。二日酔いの日も含めて入らないでください。

高血圧でもサウナに入っていい?

消費者庁が紹介する医師のコメントでは、高血圧で治療中の人は主治医に確認してから利用するよう求めています。治療をしていて血圧が安定している人でも、水風呂の急な冷えで血圧が大きく上がる可能性があるため、水風呂は避けるかシャワーで代わりにするのが無難です。自己判断せず、主治医に相談してください。

11. まとめ

サウナは、入り方しだいで体への負担が大きく変わる温浴法です。「健康に悪い」と一括りにせず、どこにリスクがあるかを知っておけば、多くは避けられます。最後にポイントを振り返ります。

  • サウナ中の心臓には中程度の運動に近い負担がかかる。一方、習慣的に入る人ほど心血管の病気による死亡が少ないという観察研究もある
  • 消費者庁のデータでは受傷者82人、けがの約9割はやけど・切り傷・骨折などの外傷で、受傷者の約7割が40〜79歳
  • 海外の死亡調査では、亡くなった人の5〜7割に飲酒、多くが一人での入浴だった
  • 脱水・熱中症・血圧の急変・不整脈・飲酒・転倒の6つは、水分補給と「我慢しない」「いきなり移らない」で小さくできる
  • 水風呂は必須ではない。サウナ後は血圧が下がりやすいので、ゆっくり立って30分ほど休む
  • 心臓の病気・高血圧の治療中・脳卒中の後・妊娠中は、主治医に確認してから

次にサウナへ行くときは、無理のない時間配分で入り、飲酒後や体調の悪い日は思い切って休んでください。効果とリスクの両方を知ったうえで、長く楽しめる入り方を見つけましょう。